糖尿病によりEDが引き起こされる?

糖尿病は最早日本人にとって国民病とでも言える疾患となりました。
インスリンの絶対的不足、あるいは末梢組織がインスリンに反応しづらくなるために血糖値が下がりづらくなり、高血糖で血中に余った糖はエネルギーとしてではなく身体を構成するタンパク質のアクセサリーになります。
このアクセサリー化した糖は様々な障害を二次的に起こします。
三大合併症として知られるのは網膜症、腎症、そして神経障害です。

これらの合併症は自覚症状に乏しく、糖尿病が長期に、しかも重症化して初めて気が付くこともしばしばです。
そのため、他の疾患と混同しやすいのも特徴でしょう。

糖尿病患者の男性には勃起障害、つまりEDを抱えている方は少なくはないでしょう。
糖尿病性神経障害は長い線維、あるいは細い線維の末端から障害するものです。
陰茎の勃起をコントロールする自律神経の枝は、感覚神経や運動神経の枝に比しても非常に細く、そのため障害されやすいので初期の自覚症状になる場合が稀にあります。

糖尿病性神経障害はEDが主体になることは稀で、先に人体最長の神経である脚の神経が障害されるために、足の異常感覚や感覚消失が多くの場合で先行します。
しかし、痛みを生じる場合とは異なり、感覚の低下はやはり自覚症状としては現れづらいこともあります。
陰茎における勃起障害という形で明らかになることがあり、初期の自覚症状として分かりやすいということから来院の理由になりやすい、という事情があります。

高血糖が持続することによって神経障害は進行します。
しかしEDからすぐに糖尿病を疑う方は少なく、泌尿器科に罹り、神経内科、それから糖尿病外来という経緯を辿ることも少なくはありません。
病院嫌いの方ですとなかなかこの診療科巡りを達成できず、放置してしまうことで他の糖尿病の合併症を進行させてしまう可能性が高いです。
生命にかかわる重篤な事態を招く可能性もあるため、たかが勃起不全と侮らないことが重要です。

他の生活習慣病とEDの関係性

EDは神経障害によってのみ起こる病態ではないので、様々な要因が病態の形成に関わります。
その要因のひとつに血管障害があります。
勃起は陰茎海綿体にらせん動脈からの血流が貯留することで成立するものですので、この血流流入メカニズムに障害を生じる場合もEDを生じます。

血管障害に関する生活習慣病と言えば動脈硬化です。
脂肪分の多い食生活を送っていることによる高脂血症やタバコを多く吸うヘビースモーカーがそのリスクファクターであると言われています。
血管は本来ゴムホースのように柔軟に動くものですが、動脈硬化によって柔軟に動かなくなることで血圧が上がってもそれを許容できなくなったり、血管の開閉などの機能に障害を来たすなどの弊害を生じます。

もちろん、生活習慣病は悪い生活習慣による借金の積み重ねですので、タバコを吸ったからと言ってすぐにEDや高血圧症という形で障害を生じるわけではありません。
しかし、早くからそういった悪い生活習慣を繰り返すことがそれらの症状が起こる時期を早めることは無視できない事実です。
また人によってはそういった負荷に対して耐性をあまり持たない方もいますので、自分だけは大丈夫ということは決してあり得ないことを自覚する必要があります。

生活習慣病を気に掛ける気があまりない方には、我慢せずに生きてぽっくり死にたい、という願望をお持ちの方もいらっしゃいます。
しかし、こういった生活習慣病の症状は致命的な病状の前にじわじわと苦しめるような地味なものも多いので、思うままに事が運ぶことはほぼあり得ないことだと思ったほうがいいでしょう。
日々の健康に気を付けているつもりでも知らずに進行していくのが生活習慣病の恐ろしいところです。